キャリア

2026年06月19日

自分の技術に慢心せず、柔軟に人の意見を取り入れる姿勢を大切にしたい

この記事のポイント

  • 造園の仕事に魅せられ、「一生の仕事に」
  • 独立後、38歳の時に会社を設立
  • 若い世代が働きやすい業界にしたい

目次

19歳から2年間をオーストラリアで過ごし、帰国後に建設業界に足を踏み入れた小黒慧一郎さん。30歳を前に独立し、38歳の時に株式会社Bliss Yardを設立した小黒さんは、「とにかく人に恵まれていた」と自身のキャリアを振り返る。「お客様から直接感謝の言葉をもらえることが、造園の仕事のやりがいにつながっている」と言う小黒さんに、年齢を重ねることで変化した仕事観や、建設技術者として大切にしている信条、会社経営者としての目標などについて語ってもらった。

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※インタビュー前に、ご自身を形成したものや人について教えていただきました

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ワーキングホリデーを経て建設業界に

私は学生時代から建設業に強い興味を持っていたわけではありませんでした。19歳から2年間をワーキングホリデーのためオーストラリアで過ごし、日本へ帰国した際に「これから何の仕事をしようか」と考えていたタイミングで、友人から紹介されたのが造園業だったのです。「手に職を付けたい」という気持ちはありましたが、当時はまさかその後20年近くも続ける仕事になるとは想像していませんでした。しかし、働き始めて1、2年ほどで造園の仕事の奥深さに魅了され、「これは一生の仕事にしたい」と思うようになったのです。

最初に勤めた会社で主に担当したのは、いわゆる大規模な造園工事ではなく、個人宅やマンションの植木管理、せん定、庭木の手入れなどの業務でした。最初は木を切って整える仕事の面白さに引かれ、その後、「ここに石を組んだら格好いい」「この木を配置したら景観が映える」といったデザイン面にも興味が広がっていきました。単なる作業ではなく、自分なりの美意識や発想を反映できることに大きな魅力を感じ、徐々に造園という仕事そのものに深くのめり込んでいったのです。

やがて、その会社で工場などの大規模施設の年間管理を任されるようになりました。個人宅の管理とは異なり、大人数を動かしながら工期内に現場作業を終わらせる必要があり、現場全体をコントロールする難しさと面白さを実感した次第です。「どうすれば効率よく終わらせられるか」「工期より早く終わらせたい」と考えながら進める仕事が自分に合っていると感じ、単に指示されたことをこなすのではなく、自分で考えて現場を動かす楽しさに目覚めていきました。その経験が、現在の経営者の仕事の土台にもなっていると感じます。

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さまざまなタイミングが重なり29歳で独立

私は、オーストラリアでの経験を経て、「いずれは独立したい」という強い気持ちを抱くようになっていたので、20代のうちに現場経験や人脈づくりを積み重ねながら、自分なりに独立の準備を進めていました。そして29歳の時に、さまざまなタイミングが重なり、「今ならいける」と判断して独立に踏み切ったのです。勢いだけではなく、自身の営業力や技術力に対する一定の自信もあったため、満を持しての独立となりました。

独立後、一度個人事業主として活動した後、合同会社の設立にも参画しました。出資者と年上の仲間、そして自身の3人で立ち上げた会社で、造園事業をさらに拡大していこうと考えたのです。当時、造園の知識や現場経験を持っていたのは実質的に私だけでしたが、「資金がある」「人を使える」「自分のやりたいように挑戦できる」という環境は大きな魅力でした。個人事業主のままでは限界を感じていた時期でもあり、この新たな挑戦はキャリアアップの意味合いも大きかったと思います。

その後、38歳の時に現在の「Bliss Yard」を立ち上げました。私は以前から、「造園」と「外構」を二本柱にした会社を作りたいと考えていました。庭木を植えるだけでなく、ウッドデッキや照明、玄関アプローチなども含めて、庭全体をトータルで提案・施工できる会社にしたかったのです。それまで外構の仕事を専門的に任せられる人材がいなかったため、これまで本格的には取り組めていませんでしたが、2026年5月に外構経験者が入社し、ようやく理想の形に近づき始めました。今後は3年後を目標に、外構部門と造園部門を明確に分け、それぞれにリーダーを置く体制を構築していきたいと考えています。

人に恵まれてきた技術者としてのキャリア

いま私自身のキャリアを振り返ると、「とにかく人に恵まれてきた」と感じます。先輩や後輩、同級生、従業員など、多くの人との出会いが自分を成長させてくれました。悩みがある時も1人で抱え込まないで、後輩や若手社員にも積極的に相談する姿勢は今も変わらず、年齢や立場にこだわることなく人の意見を聞くことを大切にしています。「自分だけの考えだと凝り固まる」と感じており、柔軟に人の意見を取り入れるスタンスが、現在の経営スタイルにもつながっています。

20代の頃は、ひたすら目の前の現場の仕事を全力でこなす毎日でしたが、30代になると、営業や施工管理など、その他の仕事にも面白さを感じるようになりました。そして40代になった現在は、「1年後、3年後、5年後」という長期的な視点で会社を見られるようになったと感じています。会社を大きくすることだけが目的ではなく、「この会社で働いて良かった」と社員に思ってもらえることが重要であり、自分中心ではなく、会社全体を俯瞰して考えるようになりました。

私は「現状に満足しないこと」を大切にしています。例えば、若い頃にせん定や刈り込みができるようになったつもりでも、先輩から「まだまだだ」と言われた経験が強く心に残っています。現在でも、「もっと良くできる」「まだ伸びしろがある」と感じており、技術に完成はないと考えているのです。SNSで同業者の仕事を見ると、自分の未熟さを感じることもありますが、それが逆に刺激にもなっており、「慢心したら終わり」という思いを持ち続けています。 

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オーストラリアでの経験で培われた強い精神力

私自身のメンタルについては、落ち込みすぎることはあまりなく、その背景には、オーストラリア時代の経験が大きく影響していると思います。「今までも何とかしてきたし、これからも何とかなる」と考える癖がついているため、精神的に追い込まれることが少ないのです。他方で、体力面に関しては、やはり年齢とともに衰えを感じるようにはなっています。

以前は筋トレやランニングを習慣化していたものの、現在は忙しさから運動不足気味ですが、「社長が倒れると会社の経営が止まる」という責任感から、健康維持の重要性を強く意識しています。プライベートではゴルフをすることが息抜きになっています。また、キックボクシングなど格闘技観戦も好きで、格闘技の試合を見ることで得られる高揚感を仕事へのエネルギーに変えている面もあります。

私が考える建設業界の魅力は、「皆で一つのものを作り上げる達成感」だと思います。他方で、業界全体の若手不足や高齢化に対する危機感も覚えており、若い世代が他業種の同年代より稼げてプライベートも充実できる業界に変えていく必要があると考えています。私自身、休日制度や給与体系も柔軟に整え、若い世代が働きやすい会社づくりを進めているところです。弊社の社員全員が「Bliss Yardに入って良かった」と思える環境を作ることが、最大の目標です。


※2026年5月に取材した内容に基づき、記事を作成しています。

この記事でキャリアした方のプロフィール

  • 氏名:小黒慧一郎(おぐろ けいいちろう)氏 
  • 所属企業名:株式会社Bliss Yard
  • 従業員数:約7人
  • 職種:代表取締役/造園施工管理
  • 年代:40代

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