キャリア
2026年02月27日
仕事をするうえで大切なのは「考え続けること」 インフラの守り手として市民生活に貢献したい
目次
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高専で水インフラの仕事に興味を抱いた
私は「将来的に大きな構造物をつくりたい」という思いを抱いていたことから、高専(高等専門学校)の環境都市工学科(旧土木科)に進学しました。そして、卒業研究で上下水道を主とした衛生工学をテーマとして取り扱い、目に見える大きな構造物だけでなく、人々の生活に密着した水インフラの仕事に強く引かれるようになったのです。この時の経験を通じて「水コンサルタント」という職業が自分に向いているのではないかと考えるようになり、将来の専門領域を定めることになりました。
卒業後は、地元・群馬県にある水インフラ専門のコンサルタント会社に就職しました。当時描いていたキャリア目標は、30代半ばまでに国家資格である「技術士」を取得することです。資格を取得するだけでなく、群馬県内において「この人に任せておけば大丈夫だ」と周囲から全幅の信頼を寄せられるような、地域に根ざした一流の上下水道技術者になることを目指して日々の業務に励んでいました。
新入社員として最初に担当したのは、群馬県内の下水道管設計業務でした。内容は開削工事、推進工事、立坑設計、ポンプ設計、橋梁添架など多岐にわたり、下水道設計の主要な工法やパターンを一通り経験することになりました。新人としては負荷の大きい業務でしたが、この時に下水道設計の基礎から応用までを網羅的に経験できたことが、さらに複雑な案件に対応する際の土台となっています。
さらなる成長を求めて「オリジナル設計」に転職
群馬で6年間キャリアを積んだ後、さらなる成長を求めて上京と転職を決意しました。ウォーターPPP(※注1)の導入拡大など、業界構造が大きく変化していく中で、より大規模なプロジェクトに挑戦し、技術者としての幅を広げたいという思いが強まったためです。数ある企業の中からオリジナル設計株式会社を選んだ理由は、健康増進への取り組みや、社長との意見交換会など、上司や経営層に対して意見を通しやすいフラットな社風に魅力を感じたからです。組織の風通しの良さが、転職の大きな決め手となりました。
実際に入社して感じている当社の強みは、長年の実績により培われた自治体様との深い信頼関係と、そこから生まれる組織としての総合力です。この信頼基盤があるからこそ、前職では経験できなかった大規模なプロジェクトにも参画でき、技術者として挑戦できる幅が広がりました。また、土木だけでなく、建築・機械・電気・情報システムなど、各分野の専門家が社内で密に連携できる体制は、今後のウォーターPPP推進において競合他社に対する差別化要因となり、より質の高いインフラサービスの提供につながると考えています。
現在は、東京都内および埼玉県内を中心に、下水道の実施設計などを担当しています。特に注力しているのが、下水道管の耐震化事業です。地震発生時に古い管が破損するリスクを防ぐため、地域全体の状況を俯瞰し、どの箇所の耐震化を優先すべきかの順位付けや計画策定を行っています。都市の安全性を根底から支える、極めて公共性の高いミッションを担いながら日々の業務に取り組んでいます。
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自分の仕事が社会の一部になったという実感を得られる
建設コンサルタントの仕事の魅力は、自分が関わった設計が実際に形となり、社会インフラとして長期間使われる点にあります。また、自ら設計したものが形になるプロセスを、最初から最後まで責任を持って見届けられる点も魅力です。計画段階から施工完了までを見届けられる案件では、責任の重さと同時に大きな達成感を覚えることができますし、完成した施設を目にした時、自分の仕事が社会の一部になったという実感を得られることが、この仕事を続ける原動力となっています。
上下水道というインフラは、普段はそれほど意識されないものの、生活に決して欠かすことのできない「命の綱」ですから、自らの設計ミスが工事中の事故や市民の生活停止に直結する重みを常に自覚しています。近年、全国的に老朽化による道路陥没事故などが相次いでおり、上下水道施設の早急な老朽化対策も望まれております。そうした責任感が、日々の緻密な計算や図面チェックの精度を支える根幹となっているのです。
周囲から「信頼」を得ることの大切さ
私がキャリアを重ねるうえで特に大切にしているのは、周囲からの信頼を得ることです。大きなプロジェクトや責任ある立場を任されるようになるためには、まず目の前にある小さなタスクを一つずつ着実にこなし、実績と信頼を積み重ねていく他に道はありません。派手な成果を追い求めるのではなく、誠実な仕事の継続によって「津場に任せれば安心だ」と思われる存在になること。その地道な歩みこそが、建設技術者としての本分であると認識しています。
また、仕事をするうえで「考え続けること」も重視しています。設計上の難問に対し、単に発注者の了解を得るだけでは満足せず、「なぜこの案が最善なのか」「自分はどうして大丈夫だと判断したのか」を突き詰めます。思考停止に陥ることなく、論理的な根拠を徹底的に追求する姿勢が、予期せぬトラブルを防ぎ、より高品質な設計成果を生み出すための最良の手段であると、自身の経験からも確信しています。
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『自省録』などの古典を読むことで得たもの
私は高いプレッシャーの中で高品質な仕事を維持するため、オンとオフの切り替えを大切にしています。例えば、毎週水曜日のノー残業デーには、公園などでウォーキングを楽しみ、自然に触れることで心身をリフレッシュさせています。歩きながら仕事のアイデアを整理することもあれば、あえて何も考えず無心になる時間も作るなど、自分なりの「メンタル管理術」を確立しており、それが長期的なキャリア形成にも寄与していると思っています。
また、読書が好きで、マルクス・アウレリウスの『自省録』やドストエフスキーの『罪と罰』には強い影響を受けています。特に、古代ローマ帝国の五賢帝の一人でありながら日々の苦悩をつづった『自省録』からは、「悩み、考え抜くことは賢人でも同じであり、それが人々の幸福につながる」という教訓を得ました。これら古典からも学んだ、考え続けることの大切さは、複雑な利害調整や技術的判断が求められる建設コンサルタントの仕事においても、精神的な支えとなっています。
今後3〜5年における私の目標は、国家資格である「技術士」の資格を取得することです。現在、RCCM(※注2)の資格は保持していますが、技術士となることで、設計の責任者である管理技術者としてより大きなプロジェクトをけん引できるようになりたいと考えています。人生の最期に「楽しかった」と思えるよう、自らの技術を通じて社会に確かな足跡を残し、インフラの守り手として市民生活に貢献し続けることが、私が思い描く理想のキャリアパスです。
(※注1)公共と民間がパートナーシップを組み、水道関連の公共施設を管理・運用する仕組み
(※注2)一般社団法人「建設コンサルタンツ協会」が認定し、建設コンサルタント業務における管理・照査責任者となるための民間資格
※2026年1月に取材した内容に基づき、記事を作成しています。
この記事でキャリアした方のプロフィール
- 氏名:津場大輔(つば だいすけ)氏
- 所属企業名:オリジナル設計株式会社
- 従業員数:約400人
- 職種:建設コンサルタント(水コンサルタント)
- 年代:30代
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